2022.12.09 Monthly Pitch

「IT御用聞き」モデルが吉、中小企業のDX相談窓口へと進化する「Web幹事」

ユーティル代表取締役 岩田真氏

最前線の起業家が集う「Monthly Pitch」の登壇スタートアップから、
特に注目のスタートアップを毎週ご紹介する、Monthly Pitch! スタートアップの扉 「注目スタートアップの顔ぶれ」

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今週紹介するのは、
「IT御用聞き」モデルが吉、中小企業のDX相談窓口へと進化する「Web幹事

サービス概要:Web幹事」は、ユーティルの専門家が、クライアントに合ったWeb制作会社を無料でアドバイスするサービスです。特徴は、ユーティルが独自に作成している、制作会社が5,000社以上掲載されているデータベースから比較検討ができる点。専門のアドバイザーと予算や納期などを整理し、最適な制作会社をピックアップし、クライアントと制作会社をマッチング。制作会社各社から出てきた見積書はユーティルの専門家が一緒にチェックし、発注まで寄り添ってくれます。

Monthly Pitch編集部はココに注目:中小企業のITレベルは決して高くありません。社長から「ホームページをリニューアルしたいからよろしく」とだけ言われ、ネットで制作会社を検索しても価格は載っていないし相場も分からない。業者は星の数ほど出てきて困っているけど、相談できる相手もいない。そんな担当者は珍しくありません。そんな担当者を手助けしてくれるのが「Web幹事」です。

Web幹事は、発注する中小企業は無料で利用可能。三味線教室から人材系企業まで幅広い企業に利用されており、高い満足度を得ているそうです。その秘訣は、表に出ていない制作会社の料金表や実績等を一件一件地道にインタビューして構築した、ユーティル独自のデータベース。この情報に基づいて、発注者したいクライアントと制作会社をマッチングすることで、3社に1社以上が実際に発注まで至っているそうです。エリアや予算等を入力するだけで制作会社がレコメンドされるようなアルゴリズムも開発しています。

ユーティルは現在この仕組みを、ホームページ制作だけでなく、動画制作やシステム開発領域にも横展開。DXにおける総合プラットフォームを目指します。

詳細:スタートアップは、とかく自らソリューションを構築して顧客のペインを解決しようとしがちだが、ユーティルのモデルが面白いのは、自らソリューションを提供するのではなく、そのソリューションを提供してくれる事業者を紹介する、という点だ。自らソリューションを提供しようとすると、それが人手を必要とするサービスであればスケールに限界を生じるが、紹介や送客に徹すれば、キャパシティは青天井ということになる。

Web幹事がローンチして4年以上の歳月が流れた。最近では、Web幹事に加え、動画や映像制作が依頼・相談できる「動画幹事」をはじめ、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)全般の相談が受けられる総合窓口へと進化しつつある。Web幹事の単月黒字化は2020年時点で達成できていたというから、ユニットエコノミクスはすでに出来上がっていて、あとは横展開とスケール次第でグロースが期待できる。

コロナ禍を経て、企業のDXソリューションのマーケティング手法は大きく変わったが、全ての企業がITに明るいわけではない以上、オンラインマーケティングやインサイドセールスだけで、さまざまなDXソリューションが浸透していくと考えるには無理がある。ある調査では、日本企業のうち「DXできている」と回答したのは1〜2割程度で、全国に421万社ある中小企業の残りをターゲットとするユーティルの事業の伸びしろは、まだまだ無尽蔵と言えるだろう。

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