スタイリング提案やトレンド予測でEC売上アップにも貢献、ファッション特化AI「#CBK」
ニューロープ 代表取締役CEO 酒井聡
サービス概要:ファッションに特化したAIサービスを開発しているニューロープ。自社で運営してきたメディアなどを教師データとして、ファッションアイテムの639種類の色、柄、素材、シルエットなど色々な特徴を捉える画像認識AI「#CBK(カブキ)」を作り上げました。例えば、あるスナップで着用されたアイテムと似たアイテムをEC上から一瞬で見つけ出したり、あるアイテムと合うアイテムを提案する、自動で洋服のSEOをしてくれるといった機能を提供しています。
そんなニューロープが最も注力しているのがトレンド分析。コレクションやSNS、ECなどの画像からトレンドのデータベースを構築し、6カ月先のトレンド分析も行えます。
Monthly Pitch編集部はココに注目:日本で毎年処分されている洋服は13億着と言われています。これは生産されたアイテムのうちの1/3に相当する数字で、これだけの廃棄は、環境的にも企業の財務的にも好ましくありません。この課題をAIをもって解決するのが#CBKです。上で紹介したような事例をはじめ、様々な企業とアライアンスすることでファッションに関する多様な課題の解決を図っています。
また最近はファッションだけでなく、インテリアやコスメのデータの収集も始めているそう。強みの画像認識は言語に左右されにくいということもあって、東南アジアをはじめグローバル展開にも取り掛かっているようです。競合もいるものの「#CBKの強みは4年間のトレンドデータ蓄積と独自のデータソース構築」だと代表の酒井さんは語ります。
詳細:ファッション業界では、トレンドや需要予測を読み間違えることで、さまざまなムダが発生する。製造拠点では生産過剰や生産遅延、流通においては在庫過剰に伴う廃棄、店舗においては消費者の要望に応えられないことによる販売不振などだ。読み間違った場合、今シーズン売れなかったものを、次のシーズンで売ったり、別の場所に移動して売ったりする、という選択肢も現実的ではない。場所や時間を移動したとしても、売れないものは売れないからだ。
これまでファッショントレンドは、大手アパレルメーカーやファッション雑誌などが牽引してきたが、人々の嗜好が多様化し、社会の構成要素も複雑化していることから、トレンドを予測することは難しくなっている。そこで、ソーシャルメディアなどから収集したファッションに関する画像データ、実際のファッションアイテムの購買データなどを分析することにより、将来のトレンド予測の確度を上げることが重要になってくる。
この分野では、ロサンゼルスに本拠を置くFinesseが累積で1,620万米ドル(約21億円)を調達している。同社は画像から商品名、価格、ブランドなどの自動抽出や、商品をタグ付けするソフトウェア、消費者向け推奨エンジンなどを開発し、小売事業者やブランドに提供する。パリに本拠を置くHeuriechは、映像とデータの分析により、トレンド予測、製品開発、マーケティング、在庫管理などへの課題解決策を提供する。同社はこれまでに520万ユーロ(約7.4億円)を調達している。