2022.02.25 Monthly Pitch

カンボジアでコオロギを養殖、高栄養価タンパクで世界の食糧問題解決を目指す ECOLOGGIE【Monthly Pitch!注目スタートアップ】

Monthly Pitch!新着スタートアップではMonthly Pitch編集部と協力し、毎月開催されるピッチ登壇社から特に注目のスタートアップを毎週ご紹介していきます。

サービス概要:コオロギなど昆虫資源を食糧やエサとして活用することでサステナブルな食糧生産サイクルの実現を目指す ECOLOGGIE。コオロギは、従来の人工的なタンパク資源と比べて環境負荷が低く、しかも素材原料の70%近くがタンパク質で、ミネラルを含む高栄養な原料。同社は2019年にカンボジアに拠点を移し、現地でのコオロギの量産体制の構築に着手、2020年末に量産体制が確立し、2021年から日本を含む世界市場にコオロギ原料の販売を行っている。

Monthly Pitch編集部はココに注目:代表の葦苅晟矢(あしかり・せいや)さんが2017年、早稲田大学大学院在学中に創業。カンボジアに拠点を移し、カンボジアの低所得農家に副業として生産を委託することで、農家の収入源を増やすことに貢献しており、食糧問題の解決だけでなく発展途上国の経済を発展させる社会起業としての側面も持ちます。現在、企業パートナー複数と食品やペットフードの共同開発に注力されています。

ピッチ全文:はじめまして。株式会社ECOLOGGIE(エコロギー)の葦苅と申します。よろしくお願いします。ECOLOGGIEは大学での研究成果をベースに、カンボジアで自社生産した昆虫・コオロギを食料として活用して、食の問題や地球環境問題の解決を目指している会社です。

私は元々大学でコオロギの資源化に関する研究をしており、2年前からカンボジアに拠点を移して、コオロギ量産体制の事業化を行ってきました。現在はCOOの池田健介とCSOの髙 虎男も加わり、ビジネス経験やカンボジアでの経験を活かして昆虫・コオロギの量産化を進めております。

ECOLOGGIEの事業構造を簡単に申し上げますと、コオロギを安く大量に生産して幅広いマーケットに販売、事業を拡大するというモデルです。現在は高単価で販売可能な爬虫類向けのペットフード「レオバイト」をはじめとしたニッチな飼料や、サプリメントなどの健康食品を販売しています。コオロギには非常に栄養価が高くて環境にも優しく、早く育つので生産効率がとても良いという利点があります。そこでコオロギを有望な食料資源として研究開発・量産を進め、3つの仕組みを作りました。

まず人間が捨てる農作物残渣や食品副産物をコオロギの餌として活用し、安くコオロギを生産。次にカンボジア・東南アジアで農協のような組織を作り、農家をマネジメントしてネットワーク化することで、安定的なコオロギ生産を可能にします。そしてコオロギを資源として販売・展開していくビジネスを作るというものです。コオロギを食料資源として活用できれば、食の問題の解決に繋がります。また今後はたんぱく質資源の不足が課題になりますので、新たな代替たんぱく質・プロテインとしてもコオロギが販売可能です。

ではどうやってコオロギを育てているのか。ECOLOGGIEは東南アジア・カンボジアの農家にコオロギの生産ノウハウを伝え、生産を委託しています。なぜカンボジアかというと、コオロギの生産に最も適した環境だからです。農家からすると、コオロギを育てたら必ずECOLOGGIEが買い取ってくれるので、ビジネスとしては好条件。新しい職業として定着することを期待しつつ、巨大なコオロギ農協を作っていきます。

人間や食品会社が捨てる残渣を回収してコオロギに与えることで、安くでコオロギを育てる仕組みも確立しました。新興国であるカンボジアにはリサイクル文化がまだ発達していないので、この残渣回収インフラ自体も今後大きな事業になるでしょう。コオロギの販売先として、現在はニッチマーケットを攻めています。高単価な爬虫類やハムスター向けの餌として、グローバルでのシェア獲得を目指しています。また、昨今、日本でも注目されている”昆虫食”の市場に対しても共同開発や原料卸を行っています。そして東南アジアで今後ニーズが拡大していくであろう配合飼料としてニワトリの餌、魚の餌としてコオロギを販売し、事業を拡大する予定です。

ECOLOGGIEの強みは、コオロギを育てる生産技術を大学と一緒に共同研究していることです。他社にはない技術・速さ・安さでコオロギを生産しています。
コオロギ作りはSDGsにも貢献。コオロギを生産しながら地球環境問題や貧困問題、そしてたんぱく質・食の問題を同時に解決していきたいと思っております。

ECOLOGGIEが目指すのは、コオロギをきっかけにあらゆる資源が循環する社会です。現在やっと量産体制が整ったので、まずは大手ペットフードメーカーや健康食品会社との共同開発案件を進めていきます。ご清聴ありがとうございました。

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