日替わり家庭料理「マチルダ」が大手町にテイクアウト拠点、仕事帰り需要を検証へ/Monthly Pitch! アルムナイ
マチルダ CEO 丸山由佳氏
「MonthlyPitch アルムナイ」では、これまでにMonthlyPitch にピッチ登壇し、それを機に成長・発展したスタートアップの最新の動向をお伝えします。
仕事をしていて子供がいる共働き世帯を主なターゲットに、LINE による事前予約で、週1〜5回の頻度で夕食のおかずをテイクアウトできるサービス「マチルダ」。前回、MonthlyPirchに登壇していただいたのは2023年7月のことです。約半年を経て、どのような変化があったかをお聞きしてみました。
9月に資金調達、セントラルキッチン開設で安定拡大が可能に
MonthlyPitchから3ヶ月後の2023年9月、マチルダは約3.5億円を調達しシリーズAラウンドをクローズしました。このとき、資金の主な用途の一つが製造体制の強化のためのセントラルキッチンの開設でした。マチルダは、清澄白河、有明、豊洲(2拠点)、新浦安、勝どきの6箇所にテイクアウトステーションを展開していましたが、増え続ける需要から供給体制を拡充することが急務でした。
「それまでの供給体制は1,000食だったんですが、辰巳にセントラルキッチンを開設したことで新たに5,000食のキャパシティが追加され、合計で6,000食を供給可能になりました。これを受けて、2023年12月には東雲に、1月には月島にテイクアウトステーションを開設しました。今後は、速やかにテイクアウトステーションを展開していけるようになります。」(マチルダ CEO 丸山由佳氏)
たくさん地名が出てきたので、東京の地理に不案内な皆さんのために説明しておくと、いずれも、東京の東側・江東区や隣接する千葉県の浦安エリア、高層マンションが多く立ち並び、子供を持つ家庭への公共サービスが充実しているとして、近年、急速に人口が伸びを示している地域です。日本の多くの地域が少子高齢化に苦しむ中、この地域では保育園や小学校が急がれています。
営業エリアを隣接する形で徐々に拡大していくのは、効率的なロジスティクスが求められるコンビニエンスストア、オフィス向けの宅配弁当、カクヤスのような配達主体の卸売・小売サービスなどでもよく聞く戦略です。マチルダでは今後も、人口や家族構成の分布などを綿密に調査し、出店コストのかからないテイクアウトステーションの展開で、商圏を拡大していく計画です。
三菱地所と共創、住宅地ではないオフィスでの持ち帰り需要を検証
セントラルキッチンの開設で供給のキャパシティに余裕が生まれたことから、マチルダは実験的な挑戦にも臨むことができるようにしました。そうして2月5日からスタートするのが大手町のテイクアウトステーションです。マチルダは「三菱地所アクセラレータープログラム2021」に採択されており、共創施策の一環として、大手町ビルの敷地内にステーションを開設します。
「大手町でのテイクアウトステーション設置は、私たちにとって初の取り組みです。というのも、これまでは住宅地を中心とした展開でした。仕事帰りのお母様方が、家の近くで保育園に子供をお迎えしがてら、保育園の近くに設置されたテイクアウトステーションで、夜のごはんを受け取ってもらえるという体験でした。
大手町では、この街で働く皆さんが夜のごはんを受け取って家まで持って帰る、という新しい体験になります。マチルダでは3品で1セットの献立を提供していて、汁物も入っていますが、電車で持ち帰るのは少しハードルがあるかもしれません。改札前なので人流も多く、どれくらいの人が持ち帰ってくれるかは見たいところです。」(丸山氏)
大手町のテイクアウトステーションは新しいユーザ体験の検証のために行われるため、2月5日から3ヶ月間、期間限定で提供されます。マチルダは「東京メトロアクセラレーター2021」に採択され、東京メトロから出資も受けているので、このテイクアウトステーションの告知などで、大手町駅を管轄する東京メトロが協力してくれる可能性も期待できそうです。
今回の取り組みでは、子供がいない家庭、女性のみならず男性の単身生活者など、これまでマチルダが描いていたペルソナには無かったユーザの需要を誘引できるかもしれません。検証を経て、マチルダのビジネスがどのように進化していくかも注目したいところです。