2024.04.30 Monthly Pitch

外食チェーン大手も続々導入、AI+BPOで飲食店の予約業務をDXするイデア・レコード/Monthly Pitch! アルムナイ

イデア・レコード創業者でCEOの柏田康雄さん(右)取締役の左川裕規さん(左)

「MonthlyPitch アルムナイ」では、これまでにMonthlyPitch にピッチ登壇し、それを機に成長・発展したスタートアップの最新の動向をお伝えします。

飲食店の予約代行のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)業務で事業をスタートさせたイデア・レコードですが、前回のピッチ以降、「GATE AI副店長」「よやくるーAI+(プラス)」など、約半年の間にAIを活用したソリューションを続けざまにリリースしています。

BPOからAIソリューションへと舵を切り始めた背景、そして、今後、イデア・レコードが展望する未来について、イデア・レコード創業者でCEOの柏田康雄さんと、取締役の左川裕規さんに話を伺いました。

飲食業界に蔓延する深刻な人手不足

近年、日本の外食産業において最も深刻な問題となっているのが、慢性的な人手不足です。この課題は2020年に発生したコロナ禍によって一気に深刻化しました。非常事態宣言の影響で、飲食需要が低迷を余儀なくされ、レストランや居酒屋などの飲食店では従業員の大量解雇や自主退職が相次ぎました。

「コロナ禍で営業自粛を余儀なくされた飲食店が多数出ました。そのため、従業員に対する賃金支払いも難しくなり、大量の離職が発生したのです。(柏田さん)」

コロナ禍を脱した今、経済活動再開が実現すると、外食需要は急激な回復に転じました。ところが、従業員が他の業界に大挙して流出してしまった影響は甚大であり、飲食業界では人手不足に直面することとなったのです。アルバイトやパート従業員の新規募集にも応募者が集まらず、店舗運営に重大な支障が生じています。

特に飲食店での電話応対業務は、過酷な労働環境と見られ、人材を十分に確保することは極めて困難になりました。一方で電話による予約受付は、店舗運営上、飲食店にとっては必要不可欠な業務です。このため、従業員不足の中でいかに効率的に予約業務を遂行するかが、飲食店経営者に課された大きな課題となっています。

従業員を確保できない環境下で、どのようにスムーズな店舗運営を実現するかが問われています。この命題にいかに立ち向かえるかが、飲食店経営の鍵を握ります。

「コロナ禍で人手不足が一気に深刻化し、従業員が不足して電話での予約応対も難しくなった飲食店が至る所に出てきました。そこで私たちは、AIが代わりに予約業務を行えば、そうした人手不足に悩む店舗の運営を支援できると考えました。(柏田さん)」

AIによる予約代行で人手不足を解決

イデア・レコードの「GATE AI副店長」は、AIによる自動音声で電話の予約受付を代行するサービスです。このソリューションさえあれば、従業員が不足していても予約業務を滞りなく遂行することが可能になります。

サービスの内容は新規予約の受付だけに留まりません。変更予約や顧客からの特別リクエストにもフォームなどの機能を組み合わせることで一定の範囲で対応できるという高度なものです。

システムは各種データベースと連携しており、例えば顧客から「誕生日のケーキを注文したい」という音声入力があれば、店舗の管理画面には、専用の誕生日アイコンが自動表示されるなど、高機能なレスポンスを実現しています。

「AIには現段階では確かに限界もあります。そのため突発的な大幅な予約変更や、複雑なコースメニューの受付といった対応は人手に委ねる必要があります」(左川さん)

そこで同社が提案しているのが、AIと人手を組み合わせた「よやくるーAI+」です。簡単な予約はAIで代行し、複雑なケースについては人手で対応、という振り分けが可能で、コストを抑制しつつ、さまざまなニーズに合わせた最適なサービスが提供できるようになったのです。

「AIと人手が上手く連携することで、飲食店のさまざまなオペレーション課題を合理的に解決することができます。」(左川さん)

Uber Eatsとの連携で、デリバリーまで含めたソリューションを実現

さらにイデア・レコードの革新的な取り組みは、フードデリバリーまで視野に入れています。人気のフードデリバリープラットフォーム「Uber Eats」との連携によって、この領域でのサービス提供も実現しています。

従来から同社は、飲食店が自店舗のwebサイトやSNSを通じてテイクアウトやデリバリー受付できる機能を提供してきましたが、Uber Eatsの配達員を手配できる「Uber Direct」との連携で、飲食店は配送リソースさえも自前で抱える必要がなくなります。

「Uber Eatsも、弊社のようなオンライン予約が可能なシステムと組むことで、外食業界のデリバリーニーズを確実に取り込める大きなメリットがあるはずです。」(柏田さん)

この仕組みでは、飲食店に電話か自店舗のwebサイトやSNSから注文が入ると、店舗のキッチンには調理の指示が届くと同時にUber Eatsの配達員が自動的に手配され、顧客の指定した場所へ商品が運ばれます。

イデア・レコードでは、「白木屋」「魚民」などを展開する大手外食チェーンのモンテローザや、「カラオケ館」を展開するB&Vにシステムを導入、これらの店舗ではすでにテイクアウトやデリバリの注文をイデア・レコードのシステムに一元化しています。

「飲食店では、Uber Eats経由でデリバリー注文を受けた場合は手数料が35〜40%でしたが、自店舗サイトからイデア・レコード/Uber Directを経由ならそれ以下で収めることができ、注文単価が高いほどお得になります。デリバリー導入に二の足を踏んでいた飲食店も、低コストで実現できます。」(柏田さん)

「人手不足とDX(デジタルトランスフォーメーション)化の潮流を受けて、「GATE AI副店長」や「よやくるーAI+」、Uber Direct 連携など、私たちが提供するソリューションへの需要が高まっています。」(左川さん)

イデア・レコードでは、新サービスの研究開発や機能拡充、事業拡大に向けて資金調達に動いています。今後はAIによるオペレーション支援に加え、外部プラットフォームとの連携と連携で、従業員不足に直面する飲食店に対し、さらに強力なバックアップを実現したい考えです。

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