シード投資家と起業家、ここだけの裏話【Monthly Pitch公開取材】シューマツワーカー・松村幸弥さん × CAC・北尾崇さん
出資「3度NG」の先にあった未来ーーシューマツワーカー・松村幸弥 さん × サイバーエージェント・キャピタル・北尾崇【Monthly Pitch ポッドキャスト】
■CAC podcast
起業家と投資家の関係はこの10年で随分と変化しました。スマートフォンシフトといったトレンドの変化、Y Combinatorなどの登場でシード投資のハードルが一気に下がり、投資サイド・起業家サイド共に大きく数が増えたことが大きな要因です。特にシード期から志を共にするような場合、その関係は十数年に及ぶこともあります。事業における最愛のパートナーたちはどのようにして出会い、成長し、そしてその後の関係はどのようなものになるのでしょうか。
シード投資を長年に渡って手がけてきたサイバーエージェント・キャピタル(CAC)では、この「投資家と起業家」の関係に注目した連載を開始します。毎月開催される「Monthly Pitch」にこれまで参加してくれたキャピタリストと創業者のお二人をお招きし、出会いのきっかけや乗り越えたハードル、関係構築のポイントなど、ここだけでしか聞けない裏話を語っていただきます。
初回ゲスト、Zeals代表取締役CEOの清水正大さんに続いてお越しいただいたのは副業プラットフォーム「シューマツワーカー」代表取締役の松村幸弥 さんとサイバーエージェント・キャピタルから北尾崇が参加いたしました。創業期に起こったある「出来事」をきっかけに、いくつかのサービスをかけもちすることになった松村さん。初めに手を出した飲食関連のサービスに対して投資家たちから厳しい評価が続く中、同年代の北尾がゆるやかな関係値でその事業の立ち上がりを見守ります。
副業というかすかな予兆を見逃さず、攻めようとする起業家とそこにまだ未来を見出せない投資家。現在は50名近くの陣容となり、まさに今、大きく膨らもうとしている副業市場におけるポジションを獲得されています。そんなお二人に創業期を振り返りつつ、同年代の投資家・起業家のらしいエピソードを語っていただきました。(ポッドキャスト収録の一部をお送りします。太字の質問はMonthly Pitch編集部)
ー北尾さんは、このタイミングで松村さんとばったり出会ったんですか?それとも紹介してもらったんですか?
北尾:ばったりですね。最近よくNewsPicksに出ていらっしゃる石山アンジュさんがまだクラウドワークスの広報をされてた頃、うちの投資先だったことから恵比寿のガーデンプレイスでランチ会食をしていたんです。石山さんが松村さんと知り合いで、その時たまたまそこを歩いていた松村さんと星さん(現COO)をご紹介いただきました。
松村:道でばったりアンジュさんに会って、「ご紹介します、こちらサイバーエージェント・ベンチャーズの北尾さんです」と紹介していただいて。「ちょうど僕、起業しようと思ってまして」みたいな感じで一回お話させてくださいとお願いしたのがきっかけでしたね。
ーそこから持ち込みですか
松村:そうですね。すぐに企画書を送らせていただいて、速攻で断られましたね(笑)
北尾:人聞きが悪い!第一印象でいうと、「松村さんって社食コレクションとかやるんだ?」っていう。ちょっと意外性はあったんですが、ただ、うちはそれ以前に「おかん」に投資していたので・・・投資先のコンフリがあったので。当時は社名もそっちにしてるくらいなので社食コレクションが濃厚だったという記憶で、これがまず1回目に丁重にお断りさせていただいた理由です。
ー確かにそうですよね。社名が社食コレクションでバッティングしてるんだったらそりゃ断りますよね
松村:丁重にお断りされましたね。会ってもくれませんでした(笑)
ーその後、北尾さんとのコミュニケーションが続いたのはどういう経緯だったんですか
松村:他のベンチャーキャピタルさんにもご相談させていただいたんですが、「ソーシャルゲームのディレクターやってた人がなんで飲食店向けのサービスやるんだ」みたいな話になりまして。「飲食店が好きなんですよ」「飲食店でバイトしてました」と話しても「そんなんみんなやってたわ」って言われまして。確かに、そこに対する納得感のようなものがまだ作れてなかったんですね。僕としてはやるぞって気持ちはあったんですけど。でも今考えるとやってなかったんで、そこは皆さん良い判断だったかもしれないです。
独立するタイミングでは、実はシューマツワーカーの方が先にリリースしていたんです。受託開発やりながら社食コレクションの開発をしつつシューマツワーカーを運営している状態だったんですけど、初動でシューマツワーカーが割と良かったんですよ。社食コレクションとシューマツワーカーが7:3くらいだったんですが、シューマツワーカーの比率の方がどんどん大きくなってきまして。自分自身もどうしようかなと思っていたので、そのタイミングでまた北尾さんにご相談させていただきました。
ー二回目の持ち込みはどうでしたか
北尾:はっきり覚えています。道玄坂の「天空の月」っていう個室でランチして。僕、その時、恥ずかしながら「副業」というニーズが自分の中でピンと来てなくて。2017年の2、3月あたりでしたかね。でもその時に言ったことは明確に覚えています。「こういう人材がシューマツワーカーにはいる、だからシューマツワーカーがいい」という状況をどうやって作りましょうかというディスカッションをしました。
まだその状況ではなかったんですが、ただ、あの会社はサイバーのアイコンが当時からあり、メルカリの社員がいて、サイバーの社員がいるというように、優秀そうな人材を押さえてはいたので、どうやってそこの再現性を持たせましょうか?と。僕には副業のモメンタムが分かっていなかったこともあり、いったん、やんわりとお断りしたと記憶しています。
ー二回目、数字も来ているにも関わらず断られるわけですが、その後もシューマツワーカーを続けられました。どうやってアプローチしたんですか
松村:あと二回ぐらいアプローチしてます。何度か打ち合わせさせていただいたりとか。でも出資してくれっていうのは相談と言いますか、壁打ちでした。
ー他のVCさんもいるわけじゃないですか。北尾さんのことが好きだったんですか
松村:いや・・・どうなんですかね(笑)僕にはVCの知り合いがあまりいなくて。北尾さん、サイバーエージェント・キャピタルさんと同じタイミングで出資していただいたKVPの萩谷さんにも当時から定期的にご相談させていただいてましたね。
続きは、ポッドキャストにて
https://spoti.fi/3uOvZX7
ーーーポッドキャストではそのほかのエピソードも語っていただいています。シード期の起業家が投資家とどのようにコミュニケーションしたのか、ぜひお聞きください。